森と湖の国、北欧・フィンランドはデザイン大国としても知られています。独立を宣言した20世紀以降、本格的にデザインが産業として確立されていったフィンランドでは、アール・ヌーヴォーやバウハウスから影響を受けながらも、独自の様式を築きました。食器や家具などに見られるその独特な形と色彩は、機能性にも十分に配慮されたものとなっています。そうした合理性がひとつの特徴とされる一方で、自然からインスピレーションを得たという、どこかあたたかみのあるデザインは、多くのフィンランドのデザイナーたちの作品に見られる特徴です。フィンランド・デザインは、人々の生活に彩りを添える装飾性と利便性の両方を満足させるアイテムとして、今日では世界各国で愛されています。
森と湖の国フィンランドはデザイン大国としても知られています。独立を宣言した20世紀初頭以降、独自のデザイン様式を築きタイムレスで合理的なデザインの中にも、ものづくりの根源に自然との調和を重視。どこかユニークであたたかみのあるデザインが世界中の人々を魅了し続けています。
本展では、アルヴァ・アアルト(1898-1976)や、アイノ・アアルト(1894-1949)、イルマリ・タピオヴァーラ(1914-1999)、カイ・フランク(1911-1989)オイバ・トイッカ(1931-2019)、石本藤雄(1941-)をはじめフィンランドが育んだデザイナーたちによる、家具、陶器、ガラス製品、テキスタイルなどを展覧します。また、民族衣装といったフィンランドの手仕事、サウナ文化など、優れたデザインを生み出したフィンランドの暮らしも併せて紹介します。
■展示構成
第1章…TIMELESS~時代を超えて
アルヴァ・アアルトは、美しいうねりや曲線美をプロダクト作品に込め、その妻アイノ・アアルトは、モダンで普遍的な美しい器を作りました。実用的でシンプルかつ美しいデザインで賞讃され「フィンランド・デザインの良心」と謳われたカイ・フランク、彼の愛弟子でフィンランド初の積み重ね可能な量産ガラス器などに携わったサーラ・ホペア。ティモ・サルパネヴァは芸術と機能性の融合を目指してアートガラスと実用的なガラス製品を数多く手がけ、イルマリ・タピオヴァーラは用に徹したシンプルな名作を世に送り出しました。フィンランドのライフスタイルから生まれたマスターピースが、ここに集います。
第2章…ORGANIC~自然とともに
「フィンランドのレオナルド・ダ・ヴィンチ」 と呼ばれた、タピオ・ヴィルカラ。鳥や花などをモチーフにしたアートピースを制作した、ビルゲル・カイピアイネン。石本藤雄は融通無碍な発想で 四季の事象をテキスタイルに表現し、オイバ・トイッカはユーモアたっぷりの楽しさに満ち溢れたガラスの世界を作り上げました。ヨルマ・ヴェンノラの立体的なエンボス模様が印象的なモミの木のガラス器は世界で絶賛され、美しくもどこかはかないファンタジーの世界をルート・ブリュックはセラミックで作り上げました。
アプローチこそ違えど、どの作家も自らが体感した自然を作品にしています。
第3章…FINLAND and JAPAN~日本におけるフィンランド・デザイン
時代の流れのなかでやむなく廃番になってしまったフィンランド・デザインの名品を復刻、 特別注文する「スコープ」。日本人とフィンランド人、二人のクリエイターが立ち上げたテキスタイルブランド「カウニステ」。岩手の工房とフィンランド人のデザイナーとをつなぐ「イワテモ」。その取り組みは三者三様ながら、モノ作りに対するリスペクト、愛に満ちています。
第4章…TRADITIONAL LIFESTYLES and HANDICRAFTS~伝統的な手仕事、文化
フィンランドの白樺細工と、竹や蔓を使った日本の民芸品。東北地方のこぎん刺しなどを連想させるフィンランドの織物。サウナとお風呂も、こころとからだが“ととのう”という点では似ています。
手仕事や文化においても、フィンランドと私たちは通じるものがあるのです。
特別展「フィンランドのライフスタイル-暮らしを豊かにするデザイン-」
日時 : 2024年9月14日(土)~11月10日(日)
会場 : 神戸ファッション美術館(神戸市東灘区向洋町中2の9の1)
電話 : 078-858-0050
ファックス : 078-858-0058
休館日/月曜日、9月17日、9月24日、10月15日、11月5日は休館(ただし9月16日、9月23日、10月14日、11月4日は開館)
開館時間/10時~18時(入館は17時30分まで)
観覧料/一般1,000(800)円、大学生・65歳以上500(400)円、高校生以下無料
※神戸市内在住の65歳以上の方は無料。
※カッコ内は有料入館者30名以上の団体料金。
※神戸ゆかりの美術館、小磯記念美術館の当日入館券(半券)で割引。